男の逸品

2024.01.18

「男の逸品」OTOKO Labo&Factory 

「男の逸品」OTOKO  Labo&Factory 

伝統×文化=再生

~孤高のクリエーターの技術と感性が新たなる息吹となって重来する~        

CASE‐壱「男たちの郷」オリジナルトランクをつくってみる                                                千年の伝統を持つ鞄の産地「豊岡」のファイバートランクケース  

「鞄の街 豊岡」は奈良時代から始まる柳細工を起源とし、江戸時代に柳行李生産の隆盛をむかえ、大正以降はその伝統技術と流通経路を基盤に新素材への挑戦とミシン縫製技術の導入によりカバンの生産地となった。

逸品への道!と称して「男たちの郷」オリジナルファイバー製トランクをつくってみたくなった。友人である豊岡の老舗ブランド企業ホクタンの遠藤裕己社長との共同開発である。

まずファイバー製トランクの歴史を辿ってみたい。大正時代末期、電気絶縁体であったファイバーを利用して初代遠藤嘉吉郎(1862-1934)の援助のもと開発が進められ、昭和3年頃にファイバートランクとして商品化された。素材としてのファイバーの特長であるがハードな中にも素朴さ、自然の風合いをイメージさせることが挙げられる。衝撃、磨耗に強く耐久性に富み軽量である。耐久性、耐摩耗性、絶縁性などに優れたファイバー製トランクは、さまざまな分野で使用されてきたという。戦時中、鉄などの資材の不足時には、軍需物資を搬送するケースなどにも用いられた。また、昭和11年には、ベルリンオリンピックの選手団の鞄に採用されるなどまさに栄枯盛衰の昭和史と共にその機能性と役割が多くの支持を得てきたのである。時の経過という歴史の中には、人々の生活や産業の発達までその関りは奥深い。多くのモノやコトが変化し進化する今の時代の中でファイバーという素材が醸し出す世界観に男たちの郷との親和性を感じる。可能な限りその製品開発の工程をご紹介していきたい。