今日の寸言!ひとりごと

男の逸品 再生-2

石田洋服店×郷のおやじ

独りで悦に入る・・男のジャケット

いま、我々男たちが感じる喜びとは何だろうか。例えば何かに夢中になれること。思い出話になってしまうけど、男たちが少年であった頃、夢中になって作ったものがあった。
プラモデルでもジオラマでも、さらに竹ひごやバルサ材を買ってきて創意工夫しながらがむしゃらに工作した。時にはボンナイフで指を切り、血を流しながらの作業。だけどつくる喜びやつくった作品を眺め飾る喜び、一緒に遊ぶ喜びがそこには存在していた。何よりも夢中になれる時間は日常のすぐそばにあった。

我々の青春時代。あの頃はファッションに傾倒する熱量は半端ないものがあった。そう言えばあの「メンズクラブ」という雑誌も昨年、創刊70周年をもって定期刊行が終了した。憧れが詰まった雑誌媒体を読み漁ったあの時代。中高年になってもそんな感覚は抜け切るものではない。

今回、ほんとうのプロと有意義な時間を共にすることができた。
創っていただくというオーダーする喜び、完成を待つ楽しみ、そして着る喜びに浸ってみた。
いま白髪が交じり出した我々男たちにファッションという興味の刺激を再度喚起させてくれる場所。神戸にある「石田洋服店」であり店長の石田原弘氏である。

「一着のジャケットと男たちの郷」

以前アパレル事業を営んでおられた石田原氏であるが家業としてのその脈流はテーラードである。「石田洋服店」という原点。代々培われてきた経験と実績、歴史として受け継がれてきたメンズテーラードの世界観は神戸の地という雰囲気と重なりながらファッション文化の香りを伝え続けている。

石田原店長の思い、考え方は顧客と向き合ったものづくり、まさに「ビスポーク」の世界観である。因みにこのビスポークの由来は、英語の「Be spoken」であり、石田原店長はお客様の体型や好みに合わせて話し合いながら、語らいながら完成へと導く、そんなコミュニケーションを大切にされている。日本でいうところの「オーダーメイド/テーラーメイド」は和製英語のようだ。英国が「ビスポーク」。同じような意味で、アメリカは「カスタム・オーダー」、イタリアは「ス・ミズーラ」、フランスでは「シュール・ムジュール」という表現になる。やはりイタリア語やフランス語が醸し出す語感っていい。つい惹かれてしまう。

石田洋服店のオーダーアイテムは、スーツ、ジャケット、コートに留まることは無く、シャツ、靴、ベルト、革小物なども展開、さらにネクタイ、シルバーボタン、カフリンクスなどオリジナル既製品も豊富に揃えている。歴史を感じさせるビンテージの服地は、デザインや質感など色々な興味へとつながるし、まさに男たちが思わず夢中になってしまう世界が広がっている。

今回制作したマオカラーのジャケット。刺繍で「男たちの郷」と入っている。
ファッション意欲が喚起された。
素材感、色のバランスなど拘り出したらきりがない。
夢中になれるアイテムが再燃した。鳴りを潜めていたわが子は元気に目を覚ましてしまった。

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